人材派遣を活用する企業にとって、「労働契約の申込みみなし制度」は理解しておきたい制度のひとつです。違法派遣と判断された場合、派遣先企業が派遣社員へ直接雇用を申し込んだものとみなされる可能性があります。特に、偽装請負や派遣期間の超過などは、知らないうちに発生してしまうケースも少なくありません。
この記事では労働契約の申込みみなし制度の概要や適用されるケース、企業側のリスクや対策について分かりやすく解説します。
労働契約の申込みみなし制度とは、派遣先企業が違法派遣を受け入れた場合に、派遣先企業が派遣社員へ労働契約を申し込んだものとみなされる制度です。正式には「労働契約申込みみなし制度」と呼ばれ、労働者派遣法に定められています。違法派遣を防ぎ、派遣労働者を保護することを目的として設けられました。
例えば、派遣禁止業務への派遣や偽装請負、派遣期間制限の違反などがあった場合、制度の対象となる可能性があります。なお、制度が適用された時点ですぐに直接雇用が成立するわけではありません。派遣社員が承諾の意思表示を行うことで、派遣先企業との労働契約が成立します。
また、派遣先企業が「違法派遣とは知らなかった」場合でも、確認不足や管理不備があると、適用を免れないケースもあります。そのため、派遣会社任せにせず、派遣先企業側も適切な管理体制を整えることが重要です。
労働契約の申込みみなし制度は、すべての派遣契約に適用されるわけではありません。対象となるのは、労働者派遣法に違反する「違法派遣」が行われているケースです。派遣先企業側が「知らなかった」と認識していても、実態として違法派遣と判断される可能性もあるため、どのようなケースが該当するのかを理解しておくことが重要です。
労働者派遣法では、一部の業務について派遣労働者の受け入れを禁止しています。
代表的なものとして、建設業務、港湾運送業務、警備業務、一部の医療関連業務などがあります。これらは、安全管理や指揮命令系統の明確化が特に重要となる業務であるため、原則として派遣が認められていません。例えば、工事現場での建設作業に派遣社員を従事させた場合や、警備員として派遣スタッフを配置した場合などは、違法派遣と判断される可能性があります。
ただし、医療関連業務の一部では、紹介予定派遣や休業者の代替要員など、例外的に認められているケースもあります。業務内容によって判断が分かれることもあるため、「この業務は派遣可能か」を事前に確認しておくことが大切です。
人材派遣事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。そのため、許可を取得していない事業者から派遣社員を受け入れた場合、派遣先企業側も違法派遣とみなされる可能性があります。
近年では、業務委託やフリーランス活用の広がりにより、「実態は派遣に近い契約」になっているケースも見られます。契約名称だけで判断せず、派遣会社が適切な許可を取得しているかを確認することが重要です。
なお、派遣事業の許可状況は、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で確認できます。派遣会社を選定する際は、料金や人材提案力だけでなく、コンプライアンス体制や契約管理体制まで確認しておくと安心です。
派遣労働者の固定化を防ぐため、同じ部署で派遣社員を受け入れられる期間には制限があります。原則として、同一の組織単位で同じ派遣社員を受け入れられる期間は3年までです。また、事業所単位でも派遣受け入れ期間に制限が設けられています。
同じ課で同一の派遣社員を長期間継続して受け入れていた場合や、必要な意見聴取手続きを行わずに派遣期間を延長していた場合などは、違法派遣に該当する可能性があります。
現場では、「人手不足でそのまま更新を続けていた」というケースも少なくありません。しかし、派遣期間の管理不足は、労働契約の申込みみなし制度の対象となるリスクがあります。特に複数部署で派遣社員を受け入れている企業では、契約更新日や抵触日を適切に管理できる体制づくりが重要です。
労働契約の申込みみなし制度の中でも、特に注意したいのが偽装請負です。偽装請負とは、契約上は「請負契約」や「業務委託契約」となっていても、実態としては派遣と同じ働き方になっている状態を指します。
例えば、本来であれば請負会社側が業務指示を行うべきにもかかわらず、発注企業の担当者が直接スタッフへ指示を出している場合などは、偽装請負と判断される可能性があります。
また、勤怠管理を発注側が行っていたり、業務メンバーの選定に発注側が深く関与していたりするケースも注意が必要です。特にIT業界や製造業では、現場判断で指示系統が曖昧になり、知らないうちに偽装請負状態になっているケースもあります。
契約書上の名称だけではなく、「誰が指揮命令を行っているか」という実態で判断されるため、現場運用まで含めて見直すことが大切です。
労働契約の申込みみなし制度が適用されると、派遣先企業には大きな影響が生じる可能性があります。特に注意したいのが、「違法派遣」と判断された時点で終わりではなく、その後、派遣社員が承諾の意思表示を行うことで、派遣先企業との直接雇用契約が成立する点です。
ここでは、制度が適用された場合に企業側へどのような影響があるのかを解説します。
労働契約の申込みみなし制度が適用されると、派遣先企業は派遣社員へ労働契約を申し込んだものとみなされます。
その後、派遣社員が承諾した場合、派遣先企業と派遣社員との間で直接の労働契約が成立します。つまり、これまで派遣会社を通じて受け入れていた人材を、自社で直接雇用することになるということです。
なお、派遣社員側には承諾するかどうかを選ぶ権利があります。そのため、制度が適用されたからといって、必ず直接雇用が成立するわけではありません。一方で、企業側は原則として申込みを撤回できないため、違法派遣が認定された場合の影響は小さくないといえます。
直接雇用が成立した場合の労働条件は、原則として、派遣社員と派遣元企業との間で締結されていた契約内容が引き継がれます。賃金や契約期間、労働時間などは、違法派遣が行われた時点での条件を基準に判断されます。
そのため、派遣元との契約が有期雇用であった場合は、派遣先企業との契約も有期雇用として成立するケースが一般的です。また、就業規則や各種手当などについても、内容によっては引き継がれる可能性があります。企業側としては、「直接雇用になった場合にどのような条件を引き継ぐのか」を把握しておくことが重要です。
労働契約の申込みみなし制度が適用されると、企業側にはさまざまなリスクが発生します。
まず、直接雇用となることで、人件費や社会保険料などの負担が増加する可能性があります。派遣契約を前提としていた採用計画や人員配置の見直しが必要になるケースもあるでしょう。
また、違法派遣が発覚した企業として、コンプライアンス面での信用低下につながるリスクもあります。特に偽装請負は社会的な問題として扱われることも多く、取引先や求職者からの印象へ影響する可能性があります。さらに、行政指導や是正対応が必要になる場合もあり、現場だけでなく法務・人事部門を含めた対応工数が増えるケースも少なくありません。
労働契約の申込みみなし制度によるリスクを防ぐためには、派遣会社だけでなく、派遣先企業側も適切な管理体制を整えることが重要です。現場運用と契約内容にズレが生じると、企業側が意図していなくても違法派遣と判断される可能性があります。
ここでは、企業が実務上意識したい対策について解説します。
違法派遣かどうかは、契約書の名称だけではなく、実際の運用実態をもとに判断されます。契約上は「請負契約」となっていても、実際には発注企業の担当者が直接指示を出している場合、偽装請負と判断される可能性があります。
そのため、契約内容と現場運用にズレが生じないよう確認することが重要です。現場では、「業務効率を優先して、つい直接指示してしまった」というケースも起こりやすいため、管理者だけでなく現場担当者への周知も欠かせません。
また、契約更新時には、現在の運用実態と契約内容に乖離がないかを定期的に見直すことも大切です。
派遣契約と請負契約では、指揮命令を行う主体が異なります。派遣契約の場合は、派遣先企業が派遣社員へ業務指示を行います。一方、請負契約では、請負会社側の管理者を通じて指示を出す必要があります。
この違いを理解せずに運用してしまうと、知らないうちに偽装請負状態となる可能性があります。特に複数の契約形態の人材が同じ現場で働いている場合は、指示系統が曖昧になりやすいため注意が必要です。
誰が業務指示を行うのか、勤怠管理はどこが担当するのかなどを明確にし、現場内で共有しておくことで、違法派遣リスクの軽減につながります。
派遣社員の受け入れには期間制限があるため、契約更新時期や抵触日を適切に管理する必要があります。人手不足の現場では、同じ派遣社員を長期間受け入れ続けるケースも少なくありません。しかし、管理が不十分なまま更新を続けると、期間制限違反に該当する可能性があります。
また、部署異動や派遣元変更があった場合でも、実態によっては同一組織単位での継続就業と判断されることがあります。そのため、契約書だけで判断するのではなく、実際の就業状況まで含めて管理することが重要です。
派遣社員数が多い企業では、管理表やシステムなどを活用しながら、更新時期を可視化できる体制を整えておくと安心です。
違法派遣のリスクを防ぐためには、法令理解やコンプライアンス体制が整った派遣会社を選ぶことも重要です。派遣会社によっては、契約管理や抵触日管理、法改正への対応サポートなどを行っている場合もあります。
一方で、契約説明が不十分だったり、現場任せの運用になっていたりすると、派遣先企業側がリスクを抱える可能性もあります。
そのため、料金や人材提案力だけでなく、派遣法への理解があるか、契約管理体制が整っているか、トラブル時のサポート体制があるか、といった点まで確認しておくことが大切です。
労働契約の申込みみなし制度は、違法派遣から派遣労働者を保護するための制度です。派遣禁止業務への派遣や偽装請負、派遣期間制限の違反などがあった場合、派遣先企業が直接雇用義務を負う可能性があります。
現場運用と契約内容にズレがあると、企業側が意図していなくても違法派遣と判断されるケースもあります。派遣社員を受け入れる際は、派遣法への理解を深めるとともに、契約管理やコンプライアンス体制が整った派遣会社を選ぶことが重要です。
人材派遣会社に依頼をする際には、自社のニーズや課題に合わせて選ぶ必要があります。「会社に定着してくれる優秀な人材」が欲しい場合は、地域に根ざした手厚いフォローがあり、地元で働きたい人材を派遣会社で育成をしている地域密着型の人材派遣会社がおすすめ。
急な欠員などで、「短期・単発の柔軟な人材」が欲しい場合は、全国各地から即座に人材を集められて、一日や一週間といった柔軟な人材確保をしやすい全国展開の大手人材派遣会社がおすすめです。
それぞれのニーズにあったおすすめ人材派遣会社をご紹介します。
「定着率の高い良質な人材」の
確保が急務なら…
引用元:株式会社エヌエフエー(https://www.nfa-g.com/lp/Proposal/)POINT!
地域の人材を自社採用で確保、育成することで優秀な即戦力人材を少数~100人以上で派遣!
このようなお悩み・ニーズに…
慢性的な人手不足や業務拡大のため、長期雇用が可能な人材確保が急務
研修等により、スキル面やマインド面の習熟度の高い人材がほしい
| 所在地 | 東京都大田区西蒲田5-27-10 りそな蒲田ビル4F |
|---|---|
| 創業 | 2006年 |
「短期・単発の柔軟な人材」の
確保が急務なら…
引用元:スタッフサービスグループ(https://www.staffservice.co.jp/)POINT!
業界屈指の登録者数で全国から集まった人材をいつでも派遣可能!
このようなお悩み・ニーズに…
期間限定の業務が多いため、自社採用で人材が確保しづらい環境である
スタッフの欠勤で仕事に穴が開いてしまい、単発で人材がほしい
| 所在地 | 東京都千代田区神田練塀町85 JEBL秋葉原スクエア |
|---|---|
| 創業 | 1981年 |
※選定条件
Googleで「大田区 人材派遣会社」で検索した上位20社の中から、大田区に拠点があり、派遣社員を自社で長期雇用し、派遣期間が終了すると、自社の職場に戻る、という仕組みを作り、長く働いている派遣社員を確保している(2021年4月22日時点※1)株式会社エヌエフエーと、上位20社の中で業界屈指の登録人数の(2020年3月時点。編集チーム調べ※2)スタッフサービスを選定。
(※1)参照元:株式会社エヌエフエー公式HP(https://www.nfa-g.com/new-model.html)
(※2)参照元:株式会社スタッフサービスグループ公式HP(https://www.staffservice.co.jp/client/)