昨今、労働局による労働者派遣に関する指導監督は年々強化されており、派遣会社だけでなく、派遣先企業に対する調査も増加傾向にあります。派遣社員を受け入れている企業にとって、労働者派遣法に基づいた適切な管理体制を整えておくことは、これまで以上に重要になっています。
労働局による派遣先調査の概要、調査で確認される主な項目、備えておきたいポイントについて解説します。
労働局による派遣先調査とは、労働者派遣法に基づき、派遣社員を受け入れている企業の法令遵守状況を確認するために行われる調査です。調査は主に、労働局の需給調整事業部に所属する「需給調整指導官」が担当します。
労働者派遣に関する指導監督は、派遣会社だけが対象になるわけではありません。派遣社員が実際に就業している派遣先企業も、労働者派遣法の規定に基づき、調査の対象となることがあります。
調査は、突然の立ち入りという形で行われるケースは少なく、多くの場合は労働局から事前に連絡があり、日程を調整したうえで実施されるケースがほとんど。企業側は求められた書類を準備し、訪問した調査官による確認やヒアリングに対応します。
調査当日は、派遣契約書や派遣先管理台帳、派遣社員の労働時間が分かる資料などの確認が行われるほか、必要に応じて担当者への聞き取りや、派遣社員の就業状況に関する確認が行われることもあります。
近年、派遣社員の「同一労働同一賃金」の徹底や待遇改善を背景に、労働局による調査が活発化しています。厚生労働省が公表している「労働者派遣事業に係る指導監督の実施状況」によると、派遣先企業に対する調査件数はここ数年で大きく増えています。
▼ 労働者派遣事業に係る指導監督実施件数
(派遣元事業主・派遣先)
| 令和 2年度 |
令和 3年度 |
令和 4年度 |
令和 5年度 |
令和 6年度 |
|
| 派遣元への調査数 | 13,316件 | 15,061件 | 14,887件 | 12,603件 | 12,739件 |
| └ うち文書指導 | 7,064件 | 14,841件 | 15,396件 | 14,110件 | 14,255件 |
| 派遣先への調査数 | 1,351件 | 2,385件 | 3,131件 | 4,593件 | 4,869件 |
| └ うち文書指導 | 913件 | 1,621件 | 2,261件 | 3,496件 | 3,577件 |
このデータを見ると、派遣元事業主への指導監督件数がほぼ横ばいで推移している一方、派遣先企業に対する調査件数は年々増加していることが分かります。
令和2年度から令和6年度にかけて、派遣先への調査件数は約3.6倍に急増。さらに、調査を受けた派遣先の約7割以上が「文書指導(是正が必要な箇所の指摘)」を受けていることになります。
労働局による派遣先調査は、必ずしも特定の問題が発生した場合だけに行われるものではありません。派遣会社に対する調査の過程や、派遣社員からの相談、あるいは定期的な指導監督など、さまざまなきっかけで実施されることがあります。
派遣先調査のきっかけとして最も多いのが、派遣会社に対する調査です。労働局は、労働者派遣事業を行う派遣会社に対して定期的に指導監督を実施しており、その際に派遣契約の内容や派遣社員の就業状況などが確認されます。
調査の過程で、契約内容や書類の記載に不明点がある場合や、実際の就業状況を確認する必要があると判断された場合には、派遣先企業に対しても調査が行われることがあります。派遣会社の書類に不備があった場合、派遣先でも同様の管理上の問題がある可能性があると判断されるためです。
派遣社員が労働局や労働基準監督署に相談を行った場合も、派遣先調査が実施されることがあります。相談内容として多いのは、正社員との待遇差や賃金に関する不満、休憩時間や労働時間の管理、職場でのハラスメントなどです。
このような相談が寄せられた場合、まずは電話などによるヒアリングが行われることが一般的です。しかし、説明内容だけでは状況の確認が十分にできない場合や、より詳しい事実関係の確認が必要と判断された場合には、資料の提出や企業への訪問調査が行われることがあります。
特に近年は、職場環境や待遇に関する相談が増えていることから、派遣社員の就業環境を確認する目的で調査が行われるケースも見られます。
労働局は、労働者派遣事業の適正な運用を確保するため、定期的に指導監督を実施しています。これは特定の問題が発生した企業だけを対象とするものではなく、派遣制度全体の適正な運用を確認する目的で行われるものです。
派遣会社への定期調査の際には、派遣先の事業所名や派遣社員の人数、従事している業務内容などが記載された資料が提出されます。こうした情報をもとに、必要に応じて派遣先企業へ確認が行われることがあります。
派遣先の担当者が派遣法の内容を十分に理解していない場合、書類の記載方法や手続きに不備が見つかり、是正指導の対象となることもあります。
労働者派遣法は、制度の見直しに伴い定期的に改正が行われています。特に大きな影響があったのが、2020年の法改正で導入された「同一労働同一賃金」の制度です。
この制度により、派遣社員の待遇については、派遣会社と派遣先の双方が適切に対応することが求められるようになりました。労働局の調査では、派遣先が比較対象労働者の待遇に関する情報を適切に提供しているかどうかや、実際の就業環境が契約内容と整合しているかなどが確認されることがあります。
派遣社員の待遇に関する情報提供や、派遣会社との連携体制が不十分な場合、指導の対象となることもあるため、派遣先としても制度の内容を理解しておくことが重要です。
労働局による調査は、突然行われるケースは少なく、基本的には事前連絡のうえで進められます。企業側は求められた書類を準備し、訪問調査に対応する形となります。一般的な調査の流れは次のとおりです。
労働局から企業の担当者へ連絡が入り、調査の実施について通知されます。電話などで日程調整が行われ、あわせて提出が必要な書類や準備すべき資料について説明されることが一般的です。
事前に指定された書類を準備します。派遣契約書や派遣先管理台帳、比較対象労働者に関する情報など、派遣社員の受け入れ状況が確認できる資料を整理しておく必要があります。
指定された日時に労働局の需給調整指導官が企業を訪問し、調査が行われます。担当者が対応し、準備した書類をもとに調査が進められます。
提出された書類の内容が確認されるほか、担当者へのヒアリングが行われます。必要に応じて、派遣社員の就業状況や実際の業務内容について確認されることもあります。
書類や運用に問題がなければ、その場で調査が終了します。記載漏れや手続きの不備などが確認された場合には、指導票や是正指導書が交付されます。
労働局の調査では、派遣社員の受け入れに関する契約内容や管理状況が、労働者派遣法に沿って適切に運用されているかが確認されます。調査では書類の提出が求められ、担当者へのヒアリングとあわせて内容がチェックされることが一般的です。
派遣業務の内容、就業場所、派遣期間、指揮命令者、就業時間などが適切に記載されているかを確認されます。実際の就業状況と契約内容に相違がないかもチェックされるため、契約更新の際に内容が正確に反映されているかが重要です。
派遣先での作成が義務付けられている書類です。派遣社員の就業状況や苦情処理、待遇に関する事項などが正しく記録されているかが確認されます。記載漏れや更新漏れが指摘されるケースも多いため、派遣社員ごとの情報が適切に管理されているかがポイントになります。
派遣社員の待遇を決める際の基準となる「比較対象労働者」の賃金や待遇に関する情報が、派遣会社へ適切に提供されているかが確認されます。同一労働同一賃金の観点から、情報提供の内容やタイミングが重要になります。
派遣受け入れ期間の上限に関する「事業所単位抵触日」や「個人単位抵触日」が適切に管理され、派遣会社へ通知されているかが確認されます。期間制限を超えて派遣社員を受け入れていないかどうかも調査の対象となります。
同じ部署で3年を超えて派遣社員を受け入れる場合に必要となる、過半数労働組合または過半数代表者への意見聴取が適切に行われているかが確認されます。手続きの実施状況や記録の保存もチェックされることがあります。
タイムカードや勤怠管理システムなどをもとに、派遣社員の始業・終業時間や休憩時間が適切に管理されているかが確認されます。実際の労働時間が契約内容と大きく異なっていないかも調査のポイントになります。
これらの書類や記録は、日常的に適切に管理されていないと、調査時に不備が見つかりやすい部分でもあります。派遣会社と連携しながら、必要な情報が整理されているかを定期的に確認しておくことが重要です。
労働局の調査において、実際にどのような項目で是正指導を受けている企業が多いのでしょうか。厚生労働省が公表している「労働者派遣事業に係る指導監督の実施状況」(令和6年度)から、上位の違反項目を見てみましょう。
| 法条項 | 内容 | 指導件数 |
| 法第42条第1項 | 派遣先管理台帳の記載 | 2,161件 |
| 法第26条第7項 | 比較対象労働者に関する情報提供 | 1,127件 |
| 法第26条第1項 | 労働者派遣契約締結の内容 | 1,011件 |
| 法第26条第4項 | 派遣元事業主に対する抵触日の通知 | 673件 |
| 法第40条の2第4項 | 過半数労働組合等への意見聴取 | 381件 |
最も多いのが「派遣先管理台帳の記載不備」です。就業時間の記録漏れや、社会保険の加入状況、苦情処理などの記載が正しく行われていないケースが多く見られます。
次いで、同一労働同一賃金に関わる「比較対象労働者の情報提供」や、契約書の記載内容そのものの不備が続いています。これらは「知らなかった」「派遣会社に任せていた」という理由では済まされない項目ですので、自社の管理体制を改めて確認しておく必要があります。
労働局の調査で書類の不備や手続きの問題が確認された場合、内容に応じて指導が行われます。ただし、多くの場合はすぐに行政処分となるわけではなく、まずは改善を求める指導が行われるケースが一般的です。指摘内容に応じて、次のような書類が交付されます。
「指導票」は、法律違反には該当しないものの、改善が望ましいと判断された場合に交付されるものです。たとえば書類の記載方法が不十分な場合や、運用面で改善の余地がある場合などに発行されます。
この場合、指導内容に沿って社内の運用を見直し、改善を行えば大きな問題になることはありません。
「是正指導書」は、労働者派遣法に違反している事項が確認された場合に交付されます。違反項目ごとに発行され、改善期限が設定されるのが特徴です。
企業側は、期限までに指摘された内容を改善し、対応状況をまとめる必要があります。
是正指導書を受けた場合は、改善内容をまとめた「是正報告書」を提出します。報告書では、どのような対応を行ったのかが分かるように具体的に記載することが求められます。
なお、是正指導書が交付された場合でも、指摘内容を適切に改善すれば基本的に罰則が科されることはありません。多くの場合は、期限内に改善を行い、報告書を提出することで手続きは完了します。
ただし、指導内容を放置した場合や、改善が行われない場合には、より重い行政指導や行政処分につながる可能性もあるため、速やかな対応が重要です。
労働局の調査は、派遣会社だけでなく派遣先企業も対象となるため、日頃から適切な管理体制を整えておくことが大切です。事前に準備をしておくことで、調査が行われた場合でも落ち着いて対応しやすくなります。
派遣社員の受け入れに関する書類や手続きについて、定期的に自主点検を行うことが重要です。派遣契約書や派遣先管理台帳の内容、抵触日の管理、待遇情報の提供など、派遣先としての義務が適切に運用されているかを確認しておくことで、不備を早めに見つけることができます。
また、厚生労働省が公開している自主点検表などを活用することで、法令に沿ったチェックを行いやすくなります。
派遣社員の受け入れに関する手続きは、派遣会社と派遣先が連携して対応する必要があります。日頃から派遣会社の担当者と情報共有を行い、契約内容や法改正の内容について確認しておくことが大切です。
労働局から調査の連絡があった場合も、派遣会社と早めに連携を取り、必要な書類や対応方法について相談しながら準備を進めるとスムーズに対応できます。
労働者派遣法は制度の見直しが行われることも多く、企業担当者が最新の内容を把握しきれないこともあります。特に同一労働同一賃金などの制度は、派遣先にも関係する重要なポイントです。
法改正に関する情報は、厚生労働省の資料や派遣会社からの情報提供などを通じて定期的に確認し、自社の運用が最新の制度に沿っているかを見直しておくことが大切です。
労働局による労働者派遣に関する調査は、派遣会社だけでなく、派遣社員を受け入れている派遣先企業も対象となる場合があります。派遣契約の内容や派遣先管理台帳、待遇に関する情報提供など、派遣先としての対応状況が確認されることがあります。
厚生労働省のデータを見ると、近年は派遣先企業への指導監督件数が増加傾向にあり、企業側の対応体制もこれまで以上に重要になっています。特に派遣先管理台帳の記載や、比較対象労働者に関する情報提供などは、調査で指摘されやすいポイントです。
日頃から派遣会社と連携しながら書類の管理や手続きを確認しておくことで、調査が行われた場合でも落ち着いて対応しやすくなります。派遣社員を受け入れている企業は、派遣先としての役割や義務をあらためて確認し、適切な管理体制を整えておくことが大切です。
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(※1)参照元:株式会社エヌエフエー公式HP(https://www.nfa-g.com/new-model.html)
(※2)参照元:株式会社スタッフサービスグループ公式HP(https://www.staffservice.co.jp/client/)